お客様に選ばれる会社の
仕事の流儀

ーーー仕事のクオリティーについてお話が出ましたが、柏原さんが思う仕事のクオリティーとはなんでしょうか？

前提として、施工工程を一切省かずに、丁寧に施工した上でのお話としてお聞きください。仕上がりの美しさは言うまでもありませんが、ひと言で言うなら、細部にまで仕事が行き届いているかということです。「神は細部に宿る」という言葉もある通り、これはどの仕事でも同じだと思います。遠目で見ると美しく見えても、例えば壁の塗装が雨樋に付いていたり、隅に塗り残しがあったり、などの雑さがあると仕事の質は落ちると思います。
私自身、最後の検査で現場を回らせていただくんですが、そういう細部を必ずチェックしますね。

実は、金額を無理に抑えようとすると、職人は早く終わらせないとならないので、どうしても雑になってしまうので、弊社では職人が適正な仕事ができる工期を組みますし、会議や職人との会話の中でも常にお客様の満足度やクオリティーの追及の話はしていますね。

ーーーお客様との打ち合わせや商談の際に何を大事にされていますか？

弊社では、「お客様は、大事な住まいをこれからリフォームしようとしている」という大前提を社員全員に徹底させています。つまり、自分たちが工事をしたいからお客様と商談するのではなく、お客様に寄り添ってお話をお聞きし、想いを汲み取るご提案をするということです。このマインドセッティングは非常に大事だと思います。

それと、工事をして終わりではなく、お引き渡しからがスタートなんだということも社内で共通認識にしています。長くお付き合いするという大前提があるので、営業も職人もいい加減なことはできません。

ーーー信用信頼が大事、ということですね。よく聞くお悩みに、営業と打ち合わせしたことが現場の職人に伝わってない、というのがあります。この課題解決策としての取り組みを教えてください。

口頭や社内で利用しているSNSを通じて連携もしていますが、それだけだとお客様の気持ちの共有はできますが、実際の細かい指示をしたくても限界があります。弊社では現場専用のアプリを使って、抜け漏れのないように連携・管理をしています。

ーーーお客様の中には、いざ工事になるとどんな職人が来るか心配になる、という声もあります。職人の教育などで気を付けていることを教えてください。

弊社は、親方レベルの熟練職人の中から、弊社の理念に共感してくれた人だけを採用しています。自分たちの仕事場は「工事現場」ではなく「お客様の大事な住まい」であること、工事前も、工事期間も、お引き渡し後もお客様はそのご自宅に住み続ける、という大前提があることを共通認識とし、大事にすること。そうすれば、お客様や近隣の方への配慮、仕事のクオリティー、清掃、など工事に関するすべての工程にどのような意味と価値があるのか理解できます。その共通認識を持った上で、日々、仕事のクオリティーや清掃について話をしています。

お客様から本当によく聞くことがありまして…。「仕事はちゃんとやってくれたんだけど、ゴミが…」とか「引き渡し後、掃除をするのが大変だった」と残念そうに話されます。どんなに工事をきちんとしても、最後にゴミが残っていると、がっかりした印象が強く残ってしまいます。これも、「お客様の大事な住まい」という認識が薄れ、「単なる工事現場」になっているからじゃないかと私は思うんです。だから、弊社では「ちゃんと掃除をしましょう」と耳にタコができるくらい（笑）、話しています。

ーーー柏原さんがこの業界に入ったきっかけや、学びを得たエピソードなどお聞かせください。

この業界に入ったのはたまたまのご縁としか言いようがないのですが、入ってみると、お客様の「外壁をキレイにしたい」「リフォームをしたい」という想いを後押しさせていただく営業の仕事が天職だと思うほど楽しく、やりがいを感じました。

それから数年して会社を設立しました。会社規模を拡大して支社もつくり、社員数を現在の10倍にしたこともありました。しかし、そのとき、仕事の意義や理念について、社員と目線を揃えられないことが起きました。

それでは売上が上がってもお客様に迷惑をおかけするし、私のやりたいこととは違うと思ったので、苦渋の決断でしたが一旦、解体しました。そして、私ひとりで一から出直す覚悟で、一件、一件、営業に出ました。採用でも、私が考える仕事の意義と理念に共感する人だけを採用していきました。

いろいろな学びはありますが、この経験が特に今に活かされていると思っています。

ーーーその経験や学びから(一社)全国外壁屋根調査協会の理事長を務め、活躍されている原動力になっているということですね。

そうですね。今までの私のこの業界での実績を評価いただき理事長に就任しました。とても有難いことですので、これからの日本のリフォーム業界の健全化、そして世界に負けない技術力といったところを協会を通してお役に立てたらと思っております。

ーーー最後に、目指す会社のビジョンや目標などをお聞かせください。

「リフォーム業界、塗装業界で、あそこの会社って本当にほかと違うアプローチ、取り組みををしてるよね、という会社はありますか？」と尋ねられると、私自身、答えられないんですよ。多少はあるとしても、明確に言える会社って思いつかないんです。だから、それを作り出したいというのがありますね。

この業界で新しい切り口を生み出してみたく、その先駆者になれたらと。

YouTubeやInstagramにいち早く取り組んでいますが、こうした新しいアプローチに意図を持ちながら率先してトライしたり、塗装やリフォームもワクワクするような提案をお客様にしたり。そういう取り組みがちゃんとお客様に浸透していけるように色を出していきたいですね。

それと、無理に規模拡大をするつもりはありませんが、仕事の意義と理念を共有しながら、自然にそうなるのならいいなと思っています。

ーーー本日はありがとうございました！